映画

ヱヴァンゲリヲン新劇場版

※ネタバレあり! 見終わって頭に浮かんだのは、なんて良くできた二次創作だろう、であった。 制作の報に接したのがちょうど去年の9月9日。そのときには終わったものに対して何をするんだろうとあまり期待はしていなかった。今夏にBSでやっていた『GHOST IN T…

河童

見る主体であるカメラにフォーカスを当てるのは原作への+αなんでしょか。 とりあえず、文化庁、PTA、JR東北は置いといて、妹の百面相を見に行けばいいと思う。

秒速5センチメートル

一週間前から発売のトークショーのチケットなんて買えるわけがない、といつもの法界悋気を巻き散らしつつ坂を登った。 私的には、『ほしのこえ』は一人で作った作品、『雲の向こう、約束の場所』は相変わらず綺麗な背景の作品であったが、本作で新海誠は間違…

パフューム−ある人殺しの物語−

『パフューム』は匂いについての作品であり、どう頑張っても通常の劇場では表現することができない匂いをどうやって表現するんだろうと楽しみにして見に行った。 そこで用いられていたのは二つの方法だった。一つは主観ショットの多用であり、もう一つは比喩…

『硫黄島からの手紙』

『父親たちの星条旗』が現代における英雄がいかに作られ、消費されるのかを描いた作品であるとするなら、こちらはそれへの返答として、英雄なしでも状況を描写することで物語を構築できるということを証明してみせた作品だと思う。 やばいという状況はこれで…

パプリカ

原作者のファンであって、原作のファンではない私が持った感想を原作者がパンフレットで代弁してくれている。 もしかするとこの作品、おれの一番の傑作だったのかもしれない 一部でお経テクノとも評される音楽と、ぐにゃぐにゃと動く映像の快楽で、見ている…

『近松物語』

ストーリーのまとめはこちら。 やばい、人生損してた。モノクロ映画のくせして何この鮮やかさは。 試みに調べてみると、考証もしっかりしているらしい。 細部まできちんと時代考証してあることだ。この点でも実に見ごたえがある。主婦の眉剃り・お歯黒にはじ…

『トゥモロー・ワールド』

背景 岡田斗司夫と前田有一がべた誉めしていたものだから観てきた。 あらすじ 子供が全く生まれなくなって、ずいぶんたった2027年。主人公は妊婦を安全な場所へ送り届けようとする。 読み 人が蚊トンボのように死んでいくのに抵抗がなければ、ラストの長まわ…

DEATH NOTE the Last name

原作のキャラクター達が持っていた魅力が大幅に減っている、という批判を一作目ではよく見かけた。私としても、月の邪悪なる笑みがないのはちょっと不満。でも、この作品がデスノートという装置を外挿することで起こる物語であるとSF読みをするならば、説明…

『46億年の恋』

背景 これで三度目だという先輩に連れられて、男四人で見てきた。 原作は梶原一騎の遺稿を弟の真樹日佐夫がまとめて正木亜都名義で発表した『少年Aえれじぃ』*1という小説である。R出版という所から出ていたらしいが*2、現在は倒産してしまったのか、情報が…

土曜特別レイトショー

今週は『エロ将軍と二十一人の愛妾』 しょうもないポルノでありつつ、身分制度に対する懐疑*1のような見方も可能な快作。 主人公の角助という名前や「決断と実行」というスローガンは田中角栄からだったらしい。 作中に出てきた清国人が振りかざしていた毛沢…

覆面上映

http://www9.plala.or.jp/centraltheater/lateshow.html 見てきた。詳しいあらすじなどはこちらを。 チンピラとスケ番の間に立つ主人公が、自分たちに危害を加えてくるチンピラの一部を撃ち殺すことで、その場しのぎを行う*1。最後の電車に追われるシーンは…

笑う三カ工ノレ

タイトルを『隻眼モーニングスター対ミュータント女子高生〜佐世保湾の血戦〜』としておけば、何の問題もなかった気がする。

「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」と挨拶があり、菓子までついてくるセントラルは、雰囲気も客層もいつもとは違っていた。 上映されたのは、先日のベネチア映画祭で『パプリカ』『蟲師』を押さえて金獅子賞をとった賈樟柯の日本で見られる最新…

ゲド戦記

何かの作品を受容するには、まず「解釈」をしてから、「評価」をすることになる。 ここで言う「解釈」とは作品の要素を取り出して頭の中に入れることである。ヒトは限られた認知機能しか持たないから、「解釈」をする際に作品の持つ情報は必然的に減少、劣化…

時をかける少女

そもそも私の『時をかける少女』体験を思い起こすなら、高校生の頃に筒井康隆による原作を読んだことがあるぐらい。既に、「本来の」筒井ファンであった私にとっては、古臭いジュブナイルやなぁ、という程度の感想しか持たなかった覚えがある。あとはその時点…

映画の日

二本立てで見てきた。 「M:i:Ⅲ」 実は一作目、二作目を見たことがないのだが、前提知識などなくても頭をからっぽにしてスパイ映画のガジェットを楽しむことができた。中に仕込まれた映像を見終わったら 5分で消えてしまうインスタントカメラだとか、ポータブ…

プロミス

画面の色鮮やかさにだまされてはいけない。四つんばいの奴隷が立って走り始めた時点で、何かおかしいと感じはじめ、無歓の指棒を見た瞬間に気づいた。確かにこれは、アホ映画である。 そこからは、「王は武器を持っていない」という光明の科白が伏線になって…

オリバー・ツイスト

ロウアークラスから見た、すなわちメイドのいないヴィクトリア朝の風景。 セット・衣装とも細部まで作りこまれていたし、スリの実演など、なかなか見られないもシーンも多く、その辺りは期待通りだった。 ストーリーについてであるが、結局の所どうしてオリ…

東京ゾンビ

ウイルス感染症としてのゾンビが、ある日突然パンデミックを起こす。生き残った人々は壁を作ってその中でくらしている。それでも主人公の半径10mぐらいでしか話が進まないのは、正しくセカイ系的な想像力に則っている。 また、奥田恵梨華演じる所のヨウコは…

三丁目の夕日

ちょうど半ドンだったので、行ってきた。 劇場に入ったら、いつもはがらがらの筈なのに8割がた客席は埋まっていた。その人たちというのは、おそらくはこの映画のメインターゲットである、団塊の世代以上の人々である。もちろん平日の16時に夫婦づれで映画館…

キングコング

そういえば、今日はセントラルのメンズデーだった、と思い出して行ってきた。 私を含めて六人しか客はおらず、エンディングクレジットが終わって立ち上がったら、劇場内には誰もいなかった。 ストーリーは、最後の"The beauty killed the beast."という科白…

七人のマッハ!!!!!!!

「七人の」というからには、前作の七倍の密度があるに違いない、と見に行ったのだけど、イマイチ入りきれなかった。 格闘技を映画にするには、銃というものは避けて通れない。その上手い折衷案が、ガン=カタだったりもするのだろうけど、本作では何の前提も…

アリーテ姫

戦うお姫様が出てくれば、そこで萌えられるなんて動物回路は封印しつつ。 ストーリー 悪い魔法使いにとらえられたお姫様が、自分の力でそこから抜け出す、というお話。それだけだと、悪い意味でのフェミニズムな作品を想像するかもしれない。実際、原作のあ…

サマータイムマシン・ブルース

この映画から読み取れるSF研究会なる団体の実体。 カメラクラブ(光画部!)を追い出して部室を乗っ取っている。 部室には、中途半端に飛び飛びでS-Fマガジンのバックナンバーが置いてある。 部室は、卓をどこに置くか迷わずに済むくらいに広い。 クーラー付…

という訳で

今週限りの「ヒトラー〜最後の12日間〜」を見てきた。 主演のブルーノ・ガンツは、parkinsonismを含めてビジュアル面で完璧だった。 感想としては、ヒトが冷静な判断を下すに当たって、その場のノリというやつは百害あって一利なしであるなぁ、と。どれだけ…

映画の日でメンズデー

という訳ではしご。 http://yokai-movie.com/index.html 小さな子供を怖がらせつつ、大人には笑いを提供する、というなかなかの意欲作。泣き声と笑い声の混じる異様な空間が、そこにはあったのである。私的には笑いのツボをつかれ通しだった。 エロに関して…

恐怖の人食い生物

http://www.gyao.jp/sityou/catedetail/ 特に驚くような映像はなくて、低予算作品らしいチープさ溢れる平凡な映画だった。 ドラマとしてみてみると、「黙示の島」を思い出させるヒトのリミット外しモノであって、こういう発想は洋の東西を問わないのかな、と…

112-113

2時間の映画に全部を詰め込むことはできないのだし、一本の作品として見れば、そこそこまとまっていた。「言霊」がもう少し多くても良かった、というのは原作ファンの意見。 まぁ、基本はギャグマンガだ、と思うので笑えたから良しである。 「ISBN:40938757…

「イノセンス」 画面の密度に圧倒されて、一度ではストーリーの方を把握し切れなかった。どうも、会話と絵を同時に頭に入れられなかったのである。そういう意味で、間違いなく大きな画面で見ないと意味の無い作品になっている。 引用について各所でイロイロ…