七人のマッハ!!!!!!!

「七人の」というからには、前作の七倍の密度があるに違いない、と見に行ったのだけど、イマイチ入りきれなかった。
格闘技を映画にするには、銃というものは避けて通れない。その上手い折衷案が、ガン=カタだったりもするのだろうけど、本作では何の前提もなしに対等にやりあってしまうし、銃によるダメージ判定が不自然すぎるのである。前作の面白さというのは、CGなしでアクションをやってしまうことで、痛みというか肉体を感じさせる辺りにあった、と思う私としては、どうもその辺が不服である。車からの落下とか、随所に凄いシーンはあったんだけど。
ここまでは主人公の話で、更に他の六人+α。作品全体に通低するのが、テロから美しい祖国であるタイを守るため我々は戦う! BORN TO FIGHT! というメッセージである。だから、隻脚でもボールをけるし、子供も老人もムエタイで抵抗する。ただ正直なところ、あの場面であの瞬間に戦うことによって失われた人命と、もしそれ以外の選択肢をとった場合に失われた人命というものを比較する視点はあってもいいのではないか、と思う。それに、爆発の前には、他にも生き残っていた人がいたかもしれないし、核ミサイルはタイランド湾に落ちました。めでたしめでたし、じゃないだろ。
そういう訳で、なんというか、そういうものなのだ、という割り切りの出来ない映画だったのである。映画と現実の区別もつかないのね。『ステルス』よりもカメラ位置が地上に近かったからなんだろうか。アクションだけをとれば、娯楽大作なのになぁ……
この映画はテコンドーとムエタイの姉妹が主人公のあだ討ち映画だったらよかったのに、というのが本日の結論。
そういえば、水色の旧式ビートルが出てきていた。