サイバーパンクと未来への想像力 J,N 410416

 詳細なレポートはこことか。
 巽孝之サイバーパンクの歴史を概説したあと、桜坂洋が自身にとってのサイバーパンク受容を話しつつ、現実との関連という意味で「あっちの世界」としてのSecond Lifeとニコ動、2chのイメージの違いについて指摘。
 それを受けてトークセッション。ほとんど巽と東がしゃべりっぱなしで、桜坂は聞き役であった。 
 論点になっていたことをメモ*1

    • 日本作家が海外の作品を読もうとしていない

 海外からの視点は存在すると主張する巽と、上記の東の主張がかみ合わず。

    • 仮想世界へ"jack in"することの描き方

 「魂」の抜けた体ってのは、ニコ動を見ている状態ではないか。

    • ギートステート

 情報技術には身体を扱う分野とコミュニケーションを扱う分野がある。ギートステートで目指すのは後者。これまでのSFでは描けなかったケータイを扱えるようなものにしたい。
 小松左京らが行っていた「未来学」とは違う。

    • 時間のキャンセル

 ニコ動へアクセスしている人たちはアクセス時間は違うのに、同じ時間にアクセスしているかのような錯覚をさせる。10年前に出演したラジオ*2の発言を今更キモイと言われても……
 今後はネットにおける時間というのはなくなっていくのではないか。
 桜坂はこの状況を「キャンセル」と表現し、巽は昔だったら「消滅」と言っていたのにと驚いていた。

    • 印象

 未来はニコ動にあり*3
 未来を描こうとしている二人よりも巽孝之の方が未来について拘りを示していた気が。
 流石に、今のライトノベルの流行と「セカイ系」というタームを絡めることの賞味期限は過ぎていると思う。

*1:特に注をつけていない所は東の発言の要約

*2:http://www.nicovideo.jp/watch/sm492126

*3:ハマッているものを誉めるメソッド

 近くの漫画喫茶に泊まったら、常連客とおぼしきおじさんが、今晩はなんでこんなに人がいるのと驚いていた。おそらく、コミケほどではないにしても近所の簡易宿泊施設はどこも同じことになっているんだろう。
 

 バスに乗り遅れそうになるトラブルがありつつも、無事に関東着。
 当日受付で40分待ち、4日分の労働対価を払っていざ現場へ。
 OpenSkyを生で見て至福の時を味わう。
 その他の常設をちらちらと横目に見たあと、「星新一とは何者だったのか J,N 311418」を聞く。新井素子星新一の関係を最相葉月がインタビューするという形式。たいていのことは『星新一 一〇〇一話をつくった人*1を読めば書いてあった。
 昼飯を挟んで、お目当ての「サイエンスとサイエンスフィクションの最前線、そして未来へ! J,Y 313302」に。
 ヒューマノイドとニューロサイエンスの専門家に話を聞き、それを受けてSF作家が語るという内容になる筈だったのが、時間配分の関係で前半は上手くいかず。短期的な実用性という意味では全く金にならない分野で第一線を続けていくには、プレゼンが上手くないと始まらない、というようなことを堀晃が言っていたのに納得。outputではなく、inputへ介入することでヒトをリモコンで操る前田太郎の研究とか、國吉康夫によるhttp://www.isi.imi.i.u-tokyo.ac.jp/research/1/index.htmlカオスの中から知性を感じるというシミュレーションとか、内容だけでなく発表も面白かった。
 後半は、最後の1時間くらいになって山田正紀が、私は生きている実感がない。自分がどこまでロボットなのかを知ることができれば安心できる、といった信仰告白をした辺りから俄然盛り上がった。
 実際のところ、あの辺りの議論ってのは、『デカルトの密室』でもっと突っ込んで触れられていたことだと思うんだけど、そこは下世話な楽しみということで。
 下世話といえば、血税を使って150cmプラマイ10cmの女の子ロボットを作るという話が一番笑いを取っていたがする。
 真面目なことを言ってみると、同じヒトを再現しようとする研究をしていても、ハード屋さんとソフト屋さんの考え方は全く違うのだということを認識できたことが一番の収穫だったかも。
 ヒューゴー賞関連は事前に全くチェックしてなかったんで、なんとも。

*1:江戸川乱歩と絡めて日本SFの創世記を語る下りはSFファン必読。