『健康帝国ナチス』

ナチス政権下のドイツでの健康政策についてのあれやこれ。
ドイツ民族の生産能力と生殖能力の向上を求めたナチス*1と、当時「世界一イイィィィ!」 だったドイツ医学がいかにして、「健康増進」もしくは、がん予防に取り組んだかということが書かれている。
この本を買ったときには、ナチスの思想を受けて医学がつっぱしる話なのかと思っていたが、実際に読んで見ると、もともと優れていたドイツ医学の中にあった、がん予防という発想とたまたま政治が呼応しただけなのではないかと思えてきた。
だから本書にもある通り、禁煙を推し進めること=ファシズムだから悪いこと、という短絡は間違い。ただ、両者の根っこは「健全」を求める精神という共通性が存在しているのは否定できないと思う。だからこそ、その手法については徹底的に問われるべきではないのかなと。
ちなみに、実際の結果はどうだったのかというと、女性の喫煙率を押し下げることで、女性のがん死亡率を下げることには成功したのだそうである。逆に、男性の喫煙率は全く下げることができず、むしろ戦争のために上昇した。
少なくとも、ここから読み取るべきはイメージ戦略だけではどうにもならない、ということだろう。
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20060208k0000m040145000c.html

*1:とはいっても「方法」に関しては一枚岩ではない。