「小説 エマ (1) (ファミ通文庫)」 久美沙織

人間の頭脳には想像力というものが備わっているから、なまじ絵で具体的に見せられるよりも、ことばでざっと暗示されるのみであるほうが良いこともなくはない

というウイリアムの科白があった。小説版はマンガ版でほのめかされていたことを過剰に説明したり、新たな設定が明かされたりする形になっていて、マンガ版では絵からストーリーを、小説版ではストーリーから絵を、それぞれ「想像」することになっている。
ケリーの一人称は間違いなく森薫には描けない所で、作者の実感が込められている様に感じた。
表紙のエマの顔は登場人物紹介にある1巻の頃と違って、大分しゃきっとした表情になっている。背景は元々上手かったから、鬼に金棒だ、と思う。
あと、「第二話 眼鏡」はいろんな意味で必読である。