東京から考える 格差・郊外・ナショナリズム (NHKブックス)

東京から考える 格差・郊外・ナショナリズム (NHKブックス)

同じようなことは全国の地方都市で起こっている。「古きよき、ひとのきずなを残す地方」なんていうのはまったくの幻想で、便利な郊外型量販店ができれば、田舎のひともバッと飛びつくんです。地域共同体というのは、ジャスコ的なものに対する防波堤にはなりえません。

  • 背景 

 東京以外の場所から考えるためにも、東京から考える方法を知るのは大事だろうと読んでみた。

  • 読み

 東京から考えるときに、何を考えるのか。グローバライゼーション、ファスト風土化、ジャスコ化などなどいろんな呼び方がある現在進行形の現象についてである。人間的多様性を許容し、利便性を向上するために人間工学に基づいて作られる街には個性がない。東はそれを問題なしと言い、北田はそれを問題があると捉えたいと言って、解釈が分かれている。
 東京に住んだことがない私のおおざっぱな東京地図は、バスターミナルがある新宿があって、山手線で東の方に行くと、古本とカレーの神保町があり、そこから少し歩くと、東京ドームと秋葉原がある、といった程度である。だから、Ⅰ〜Ⅳ章の各論は聞いたことのある町の名前は出てきても、あまり実感がわかなかった。特に、ジャスコ的な町とはまた違った軸としてのシミュラークル・シティ/広告都市/「青葉台-渋谷」ラインというのは一体どんなもんなんだろう*1
 逆に、引用した文にもあるように、映画を見るにも、服を買うにも、食事をするにも、運動するにも何でもジャスコなのが私の実家のある地方都市である。郊外店が進出してきて、インターネット網が整備される前にそういった町で過ごしていた頃、「外」とのつながりは雑誌やラジオしかなく*2、「外」へ出られたときには喜んだものだった*3
 そこから10年弱でおたく的コンテンツへのアクセス状況は急速に良くなった。今でもイベントには参加しにくいという鬱屈*4が存在するのは事実。これは交通網が更なる発達を遂げてもなかなか埋まらない格差だろう。でも、「もの」に関してはアマゾンやその他同人ショップの通販、オークションなどで金の問題にさえ目をつぶれば埋まらない格差ではなくなってきている。また、ファイル共有などの手段*5によって、金銭さえ必要とせずに手に入れることも可能ですらある。
 ことここに至ると、私の今のライフスタイルでは、ネットと通販さえあれば大方まかなえてしまう。
 なにが言いたいかというと、都市とはまた違った位相であるインターネットによっても、均質化/グローバライゼーションは起こっているってことである。私個人の立場からは、都市がジャスコ化しようとしまいと、どちらでもいいんだけど*6、現状の持続可能性は望むとまぁ、そういう話。

*1:田舎のネズミ的

*2:当時、民放は2局しかなかった

*3:実際、当時放送されていた某声優アイドルの番組がクリアに聞けたときの感動は大きかった。

*4:オタクの地域格差

*5:アップロードは違法行為です!

*6:ブックオフシネコンも大好きですが。