化物語(上) (講談社BOX)

化物語(上) (講談社BOX)

化物語(下) (講談社BOX)

化物語(下) (講談社BOX)

戦場ヶ原、蕩れ

  • 背景 

 『小説現代増刊 メフィスト』にて連載された。VOFANは台湾のイラストレーターで、日本では『ファウスト』などにイラストが載っている。

  • あらすじ 

 主人公が遭遇する怪異は、鬼、猫、蟹、蝸牛、猿、蛇、そして猫。仲間の力を借りつつ、怪異に憑かれた人が「勝手に一人で助かる」のを助けていく。

  • 読み

 形式としては京極堂っぽいとか言えるんだろうが、なんといっても本書の魅力はその会話にこそある。
 主人公がツッコミを担当して、相手はボケ担当というわけで、全編これ漫才である。
 しかし、漫才であるからといってそのまま声に出して読みたい日本語になっているかというと、そういう訳ではない。例えば次の会話。

慈悲はないのかよ
茲非ならあるわよ

 要は、「心」がないということになるんだが、西尾維新らしい視覚に訴える修辞である。
 まぁ、笑えるギャグの解説をすることほどサムいことはないのでこれくらいにしとく。
 結局、この会話を若手芸人が演じたとしても、読むほどには面白くないのであり、あくまで戦場ヶ原や八九寺といったキャラクターとの対話だからこそ面白いのである。この辺りは活字であることのメリットかなとか考えた。