センス・オブ・ワンダー

センス・オブ・ワンダー

 子どもたちの世界は、いつも生き生きとして新鮮で美しく、驚きと感激にみちあふれています。残念なことに、わたしたちの多くは大人になるまえに澄みきった洞察力や、美しいもの、畏敬すべきものへの直感力をにぶらせ、あるときはまったく失ってしまいます。
 もしもわたしが、すべての子どもの成長を見守る善良な妖精に話しかける力をもっているとしたら、世界中の子どもに、生涯消えることのない「センス・オブ・ワンダー=神秘さや不思議さに目を見はる感性」を授けてほしいとたのむでしょう。
 この感性は、やがて大人になるとやってくる倦怠と幻滅、わたしたちが自然という力の源泉から遠ざかること、つまらない人工的なものに夢中になることなどに対する、かわらぬ解毒剤になるのです。

  • 背景

 これも本の存在自体は知っていたが、タイトル買い。普段行かない古本屋はいいもんだ。

  • あらすじ

 子どもにいかなる教育を行うべきかというエッセイ。上に引用した通り、「自然の」神秘さや不思議さに目を見はる感性を育みましょう。子どもをそういう場所へ連れて行きましょうという内容。

  • 読み

 自分は小児喘息があったから、カーソンが使っているような意味での「自然」にはあまり適応できなかった。キャンプに行っても、発作をおこして苦しんでいた記憶しか残っていない。また、それが緩和されてからも、蚊にさされ、カマドウマに悩まされ、蜂にさされそうになる経験なんかを込みで「自然」というものを語らない態度ってのはどうも、上澄みだけの話をしているように感じるようになった。
 「自然」に対してであれ、「人工」に対してであれ、「神秘さや不思議さに目を見はる感性」そのものはいつまでも持ち続けたいと思う。