夜は短し歩けよ乙女

夜は短し歩けよ乙女

私は(中略)どこかに貴重な才能が転がっていないかと探し廻った。そこでふいに、一回生の頃、「能ある鷹は爪を隠す」という言葉を信じて、「才能の貯金箱」を押入れへ隠したことがあったような気がした。(中略)
押入れを開けるとそこは大きく育った茸だらけであった。(中略)奥から取り出した「才能の貯金箱」は黄金に輝いている。あたかも私の未来を象徴するかのように。私は貯金箱を逆さまにして、狂ったように叩いてみたが、でてきたものは一枚の紙であった。そこには、「できることからコツコツと」と書かれていた。
万年床に倒れ伏し、私は危うく号泣しかけた。

 べったべたな「共感型」らぶすとーりーなんだが、上のようなレトリックや、李白さんの電車、古本市での我慢比べなど、設定がいちいち面白い。