バルバラ異界 (3) (flowers comics)

バルバラ異界 (3) (flowers comics)

バルバラ異界 (4) (flowers comics)

バルバラ異界 (4) (flowers comics)

だって 未来の時間は まだやってきて いないんだもの
だから 何度も やりなお せるの

  • 背景

 『プチフラワー』で連載された萩尾望都の一番新しい単行本。 

  • あらすじ 

 夢の世界であるバルバラと現在の地球と100年後の火星がつながって、希望のあるラストへ。

  • 読み

 きちっとSFしているループものだった。ただ、そこに使われる理論的基盤が夢と集合無意識*1だったりする。作者もその辺には自覚的であるみたいで、大黒が大袈裟な解説をする度、百田にツッコミを入れさせている。だからそこは鍵括弧に入れてしまっていいだろう。 
 ホーガンのSFにも疑似科学を用いるという意味で似たところがあって、それが金子隆一なんかの評が辛くなる理由だと思う。私は『ガニメデの優しい巨人』に抵抗を感じたが、『バルバラ』にはそこまでの違和感を感じなかった。作者が分かってやっているのが伝わってくることと、「と」度数の違いがからんでいそうである。
 親子の相克という意味だと、前作の『残酷な神が支配する』などと比べられそうだが、1巻でchild abuseを正視できなくて挫折したのでよく分からない。
 現在は『ここではないどこか』*2という連載をしているそうで、単行本が出るのが楽しみである。

*1:科学として役に立たない。

*2:先週、先々週の『妖奇士』のセリフの浮きっぷりには笑った。