ゲド戦記 1 影との戦い (ソフトカバー版)

ゲド戦記 1 影との戦い (ソフトカバー版)

 最初に読んだのは、たしか小四のとき。わくわくしながらゲドの冒険譚を読んだ記憶がある。再読してみると、感情は残っていても、あらすじをほとんど忘れていることに気づく。まぁ、人の記憶なんてそんなもの。
 14年もたって読んでみると、当時は分からなかった考えつくされた構成や、名づけの儀式が通過儀礼そのものであることなど、知識が自分についたことが分かる。でも、これだけ行間が広かったことにはちょっとショックを受けた。自分が最近読んでいる小説というのは、まさに「人間が書かれた」小説ばかりなのであった。

指輪物語ナルニア国ものがたりゲド戦記ゲド戦記のかわりにハリー・ポッターシリーズを入れる説もある(入れないために「二十世紀三大ファンタジー」という呼称を使う場合も)。日本国内だけで通用する用語なので注意。
http://hiki.cre.jp/write/?Fantasy

 「指輪物語」「ナルニア」「ゲド」を世界三大ファンタジーって、いつ、誰が言い始めたんですか?の状況を見てみるに、その言説の歴史はあまり共有されていないようである*1
 私なりに三つに共通する要素を考えてみると、マスターピースであることは論を待たないとして、作者が人文系の学問を修めていることが挙げられる。

ファンタジーの歴史にはうといので、http://fantasy.in.arena.ne.jp/history/fantasy.htmを参考にしつつ考えてみるなら、昔から存在していた神話や民話を人文科学の力でまとめ上げたことが、この三作品の功績であるということじゃないんだろうか。

しっかし、日本人って三大という呼び方が好きであるなぁ。

参考)
J・R・R・トールキン - Wikipedia
C・S・ルイス - Wikipedia
アーシュラ・K・ル=グウィン - Wikipedia
Ursula K. Le Guin: Biographical Data (2004)

*1:もし分かる方がいらっしゃったら教えて下さい。

*2:何でなのかは不明