マネー・ボール (RHブックス・プラス)

マネー・ボール (RHブックス・プラス)

 貧乏球団がいかにして金満球団に立ち向かうのか。その方法は統計の力を使うことだった。
 以前からこの本の書評などで、バントしない、盗塁しない、ホームランを狙え、といった方針で勝っているということは仄聞していたが、実際に読んでみると野球のノンフィクションとしてもよくできている。
 最近、私が読んだ範囲だとhttp://www.ohmynews.co.jp/HotIssue.aspx?news_id=000000001620はてなブックマーク - http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20060902k0000e050066000c.htmlなど、本書に含まれている主張を裏付けするようなデータもあったりする。特に、前者のコメント欄はあまりにアメリカでの状況とそっくりで笑ってしまった。
 余裕が出来たら、アメリカでの統計に基づく野球の創始者の一人であるBill Jamesの
The New Bill James Historical Baseball Abstract

The New Bill James Historical Baseball Abstract

を読んでみよう。
 一点だけアスレチックスの方針に文句というか、残念な所がある。この方法論で肝となる、フォアボールを選ぶこと、フォアボールを出さないことはいずれも、元々の能力で変えようが無いことになっている。経営を考えたら当然の安物買いであるが、逆に言うとそこには選手の育成という観点が全く無い。
 なんだかんだいって、今年もアスレチックスは負けてしまったけど、この方法論を用いたチーム作りをどこかの公立高校がやってくれたりしないものか。