あしたのジョーの方程式

あしたのジョーの方程式

 島本和彦による『あしたのジョー』論。「燃え」る方向というよりは、わりと理路整然とした語り下ろしになっている。著者のマンガ観が伺える貴重な本だと思う。
 少年マンガのセオリーとして、主人公のライバルというのは、あくまで主人公と対照的に設定されるものである*1。しかし、この不朽の名作において、ライバルとなる力石はジョーとは対照的な形で設定されていない。では、力石とは何だったのかということを考察していく。
 過程はさておき結論だけを抜き取ってしまえば、力石はジョーの未来だったということになる。
 私はここで、同じ構図をより純化された形で展開した弓兵の物語は、やはり少年マンガ的文脈でとらえるのが一番だということを再認識したのだった。

*1:星と花形とか。