『医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何か』

アマゾンと、県内で在庫No1の書店と、いつも利用している本屋で売り切れだった*1
最近気になっていた、医療事故とマスコミにおける医療イメージの失墜についてずばりまとめてあり、更に改革の提言を行っている。

医師による医療行為と暴力団の殺傷行為は法的には同じこと

孫引きであるが、刑法でも民法でも、行為ではなく結果に重きをおく学説が主流なのだそうで、そもそも日本には良きサマリア人*2なんてものが存在しないことを再認識させられる。
医療が「公共財」から「産業」へと移行しつつある、というのが近年の変化であり、そのために上記のような刑法上の「問題点」が浮き彫りになっている。現状がそのまま進むと、アメリカやイギリスのような悲惨な状態になりうる*3だろうと。
読みながら、なるほどなるほどと頷くことしきりだった。
私はつねづね、このような問題を扱ったマンガ作品を単なるPR作品ではなく、きちっとしたマンガとして市場で提供すればいいのではないかと思っている*4。そもそも医療の本質が確率にあることなんかは、もっと知られていいだろう。医局とスーパーヒーロー以外にもネタは豊富にころがっているのである*5

*1:檸檬爆弾で購入

*2:善意の人が救命行為を行った結果、うまくいかなかった場合の過失責任は免除される。

*3:2001年のWHOランキングでは、日本の医療は191カ国中1位!

*4:情報メディアとしての優位性については省略

*5:佐藤秀峰だと、解決する所までとことん描かないと気が済まない人であるから、ちょっと難しい