『嫌オタク流』

海猫沢めろんが出ているから、という理由で読んでみた。この人のバランス感覚は素敵。
本書は、果たしてどこにいるのか分からない、ベタなオタクエリート読者に向けて書かれているらしい。ただ「オタク」という言葉の範囲が広がったり狭まったりして、ここで罵倒されている「オタク」の正体がよく分からなかった。ていうか、p12以降に出てくる「オタクXXだ」というフレーズを総合した所で出てくる「オタク」とは一体どんな鵺なんだろうか?
まぁ、真面目に論考している訳でもないから、平均と標準偏差って何だっけ、とか言ってみても意味はない。
芸としての嫌事言いについては、「社会派くん」の方が笑える訳で、ならどうして中原、高橋の掛け合いが面白くないのか、と考えて見ると、消費者としては、俺たちの方が上だよね、ということを繰り返しているだけだからなのかもしれない。
そういう訳で、海猫沢めろんファンなら読んでも損はないけれど、「オタクエリート」という言葉に対する違和感が書いてあると期待するなら大外れ。本書でも言及されている『「ジャパニメーション」はなぜ敗れるか』だとか、『新現実』の方が真っ当である。
どうせやるんだったら、もっと感情的に反論したくなるような内容の方が、キャッチーなタイトルに+αで更に売れるのでは。と言いつつ買っちゃった私は、しっかりと編集者の手に乗っているのね。