『七胴落とし (ハヤカワ文庫 JA 167)』

言葉で語ることのできるもの/語れないもの。大人/子供。会話/テレパス。と二項対立を駆使してつむぎ出されるイメージは瑞々しく、これが本当に雪風と同じ作者の作品なのかと驚いた*1。こういうのを近代のエピステーメーとしてとらえてみればいいのだろうか?
主人公が精神を使って大人社会を攻撃していたのが、逆に刑事から言葉によって攻撃されるようになる辺りの転換も上手い。
ただ、主人公の言動があまりに幼すぎやしないのか、と思いつつ読み終わってから、ページをぱらぱらとめくっていると、冒頭に「誕生日おめでとう」という言葉が配置されていて、ここまでも計算ずくでやっていたのか、と素直に作者の力量を誉めたくなった。
あと、作品にでてくるテレパシーは「人類補完計画」なのでは、とも思われる。

*1:フムンは出てきたけど