「野村ノート」野村克也

伝説のあのメモ集ついに公開

と帯にあるのは、実質的に表紙の装丁に使われているのと、最後のイラスト見開き2ページだけで、羊頭狗肉も甚だしい。私の期待した「ノムラの考へ」とはかなり違っている。まぁ、これについては「はじめに」で

阪神時代に私が記した『ノムラの考へ』がプロの一部の選手たちの間でコピーされて読まれていると効いた。本書はその『ノムラの考へ』をベースに、今年古稀を迎えた私が野球界にかかわった50年異常の歳月をかけて学んできた、監督としてのあり方、あるいはその原則をあらためてまとめたものである。

とあるので、ハウツーを望む方が間違っている訳である。
経験を語る所は、大体どこかで読んだことのある話ばかりだし、人間としての生き方みたいな話も正直どうでもいい。
ただ、阪神時代の話はノムさん視点では知らなかったので、わりと面白く読んだ。少なくともフロントの意識を変えたトップ会談について、私はノムさんを見直した。更に星野前監督と自分の差は、補強に関して具体的な要求を出さなかったこと、と反省しているのもいい。

監督によってチームが強くなる、そんな時代はもうとっくに終わりました。(中略)野球の本質、戦略、先述を含めて、もう出尽くしています。今更新しいものは考えつかない時代になっているんです。(中略)今の野球はお金がかかります。

という現状認識は、まさに「楽天再生のカギ」であって、イーグルスオーナーにはっきりと分からせて欲しいものである。