「チグリスとユーフラテス 下 (集英社文庫)」新井素子

この人の文章というと、「腐蝕 (角川ホラー文庫)」のろくでもない解説と「阪神が、勝ってしまった。」という怪作しか読んだことがなかった。おそらくは、この本みたいなのが本領なのだろう。
「生き甲斐」も「仕事」も「子孫」も「芸術」も更には、「幸せ」も全てが無意味であり、人生にはまるで意味なんてないんだ、と惑星ナインの「最後の子供」に全否定させておいて、でも最後には理性と相反する感情を叙情的に持ち出すことで、優雅に着陸してみせる手つきは上手い。
猫SFであり、更には、ハウルを先取りした老婆萌え小説であったりもする。

  • 関連しそうなメモ

http://cnn.co.jp/science/CNN200508240035.html
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/abstract/294/8/947