「薬指の標本 (新潮文庫)」 小川洋子

身体に対するフェティシズムに溢れる作品だった、と思う。
そうは言っても、2つの短編に出てくる主人公達には「身体感覚」が欠けている。薬指を切断されても「痛くない」し、身体にかかる破片よりも割れた壺を心配するようなキャラ達なのである。
だからこそ、執拗に身体の感じたことを描写することで、身体を取り戻そうとしているのだろうか。