「感じない男 (ちくま新書)」 森岡正博

男の「不感症」と「自己否定」という概念を著者自身の体験を元に提唱し、そこからフェチやロリコンといったセクシャリティを説明している。更に、最終章では「不感症」と「自己否定」を抱えているにも関わらず、それを否定する男を「感じない男」と呼び、そこからの脱却をすすめる。
男と女の感じる快感の差に関しては「脳が快楽するとき (集英社文庫)」を読んでみると、「科学的」に証明されているように思う。「不感症」に関してまで書かれていたかは記憶にない。
「不感症」と「自己否定」に関しては、自身と重ね合わせる所があった。何を今更、という感が無くもない。そこから導き出される結論(少女になりたい)に関しても、頷く所があったが、そこへと至る思考は納得しかねる所が多々あった。結論に納得したのは、自身のポルノ受容の姿勢に近いものがあったからなのだが、詳述はしない。
最終章で、脱「感じない男」の方法として、ありのままに受容することと、タントラなぞを使って快楽を追求することが挙げられていたが、それ以外に「おたく」という方法もあるのかな、などと考えた。
いずれにせよ、こういう私語りは物珍しくて、なかなか楽しめた。