「夏の滴 (角川ホラー文庫)」 桐生祐狩

仲良し小学生の「国語カルテット」。ある日、一人がいなくなり、残った三人はその行方を探す。そこに「植物占い」や江戸時代の首切り役人なんかが絡んできて…。
占いに関する描写にもう少し薀蓄を加えて、一見本当らしく見えるように演出すれば良かっただろうに、と思う。旧暦を元に作られている筈の「植物占い」なのに、西暦の下二桁と月と日を足しただけで植物が決まってしまうって、いくらなんでも安直すぎだろう。旧暦には30日までしかないとか、閏月があるとか、1ヶ月のずれだけではないんだけどな。
あと、受精から290日で出産とあるのも間違いで、正確には最終月経から280日、受精からだとおよそ264日である。
読んでひしひしと伝わってきたのは、作者は子供が嫌いなのだなぁ、ということだった。そういう読み方をしてみると、子供の保守性であるとか、実行力を伴わない所なんかの描写は上手かった。
もう少し考証の部分に気を使ってくれていれば…。