「藤子不二雄論―FとAの方程式」 米沢嘉博

二項対立で語る藤子不二雄論。二人の資質の違いが、やがてコンビ解消に行き着くまでの考察は興味深かった。
Fは何を語るかを、Aはどう語るかを志向する。世界に相対するときに、世界を変えるか、それとも自分を変えるのか、という問に対する答えは、Aにとっては自分を変えることであり、Fにとっては世界が変わってくれることを夢想することである。私がFの作品が好きで、Aの作品にさほど魅力を感じないのは、こういった差異が影響しているのだろう。