「いま、会いにゆきます」 市川拓司

SFだという評を書いている人がいて、読んでみた。
確かに、「選択」を行うシチュエーションはそれっぽいかもしれない。つまり、幸せだけど短命な未来か、それとも他の未来を選ぶのか、ということ。
あと主人公の読書趣味も、プルーストにアーヴィング、ヴォネガットと出てきて、わざわざ「タイタンの妖女」が取り上げられているのは嬉しいところ*1
ところで、主人公にイロイロと病気があるのは、何か必要があってのことなのだろうか。特に乗り越える訳でもなく、それが重要になるシーンも無い様に思えた。日米野球を見ながらだったので、あまり真剣には読んでないから分からなかったのかもしれないけど。
主人公たちの行動の理由というものがあまり明確に描かれず、シチュエーションのみがそこに提示されている様に感じた。だから、小説としての面白さ、みたいなものは余り無かったかもしれない。

*1:映画版では本棚に青背がならんでいるらしい。