「ザ・ムーン (1) (小学館文庫)」(2)ー(4) ジョージ秋山

ぼくらの 1 (IKKI COMIX)」の元になった作品ということで、前々から読んでみたかった。
絵は流石にちと古いし、同じ構図のキメシーンの多用は正直どうよ、という所。般若心経でロボットが空を飛ぶシーンのシュールさは特筆すべきだろうか。
9人の子供が同じ意思を持たないと強大な力をもつザ・ムーンを動かせない、というのは安保理をモチーフにしているのだろう。そして、その子供達が「正義の味方」になる訳である。当然ながら他の「正義」ともぶつかることになる。そこで主人公達の行う選択は近視的で、掲載誌(週刊少年サンデー)の限界だろう、と思う。
で、最後の「白原に死す」になるわけである。宇宙人が攻めて来て、地球に細菌をばらまく。主人公達とザ・ムーンはそれを止めようとするが、全員力尽きて死んでしまう。
最後は

神は苦しむ 神は戦う 戦う人びととともに
また 苦しむすべての人のために
なんとなれば 神は「生命」であり
闇の中に落ちて ひろがり 闇を
呑みこむ 一滴の光だからである・・・・・・・・・
           (ロマン=ローラン)

という詩の引用で終わっている。
この終わり方が当時の読者にトラウマを残した、ということは想像に難くない。ジョージ秋山の他の作品を読んだことがないので、なんともいえないが、こういう作風の人なのだろうか?
取り敢えず、そのうち「錢ゲバ」を読んでみよう。