「葉桜の季節に君を想うということ (本格ミステリ・マスターズ)」 歌野晶午

なにか書こうとするとネタバレになるので、以下反転。

完全にミスリードされた。まさかホークスが南海ホークスだったとは。確かに「おじいちゃん」はパートナーのことも指す言葉だし。
従来の高齢者観に対するアンチテーゼとして良く出来ていると思う。息子を診た救急医が母親だった、というのと同じ仕組みですな。
「葉桜」について少し書くと、この論文が出て、「高齢者」というもののとらえ方が一変した、と言われている。
この論文の著者が後にインタビューで


年を取れば運動能力が低下するのが老化であり、避けられないものと従来は考えられてきました。しかし、本研究により、これまで老化と考えられてきたことの多くは、実は単なる運動不足に過ぎなかったことが判明したのです。
のばそう健康寿命 (岩波アクティブ新書)」より

と語っている。
一応この様な背景を知っていても、騙されてしまった。固定観念って怖いものだ。
この人の作品は「放浪探偵と七つの殺人」だけ読んで、さして面白くなかったから、追いかけるつもりは無かったのだが、近著は呼んでみようと思う。

追記:藤林靖晃の小説と書き方の点で似てますな。