プラネテス」(4) 作:幸村誠 isbn:4063289370
第一部完。多分第二部はないんだろうなあ。

  • 先ず、最終話における「愛」の混同について。

聖書の原本を記したギリシャ語の世界では、「愛」には四種類のものがありました。エロス(性愛)、ストルケ(家族愛)、フィリア(友愛)、アガペー(神への・神からの愛)、この四種です。

「ホントの話」著:呉智英 isbn:4093893241
一応このあたりを踏まえると分かりよいのではないかと。
ロックスミスの言う「愛」とハチマキの言う「愛」は別個のものなのである。

  • ハチマキが主人公の話について。

当初は、ハチマキはロックスミス(=グスコーブドリ)になる予定であったと思う。
1巻は、あくまでその目標が自分自身の「真理の言葉」から出てきたものであって、共同幻想ではないということの確認であった。
2巻で、ハチマキがロックスミスの目を得た所から話は転がりはじめ、3巻では、延々とアガペー以外の愛が語られることとなった。
確かモーニングで読んだ作者近況に、分かってしまいましたみたいなことを書いてあったと思う(ものすごくうろ覚え)。
長期連載だったし、きっと作者にプライベートでなんかあったんだろうと邪推する。
だからこそ、ハチマキがタナベに会わなかった場合としてのPHASE18、26でのロックスミスが生きてくるのだろう。
アニメ版では、ハキムとクレアを出して、しかも「バウンダリー・ライン」の様な話を入れているということは、
最終的には南北問題の方にシフトするのだろうか。

  • フィーが主人公の話。

フィーとアル、そしておいちゃんを軸に、ロマン主義を語っている。
無理だと分かりつつ、でも星に祈らず自分の力でやっていこうとするあたりが、大人と子供の心を持つということなんだろう。

  • その他気づいたこと。

胃痛には、ファモチジンこれ基本です。どうもサンダース大佐は太田胃散を飲んで効いてないみたいなので。
P304の心理→真理の誤植は痛すぎ。