ジョン平とぼくと (GA文庫)

ジョン平とぼくと (GA文庫)

 小川一水の帯と解説目的に読んだ。
 魔法が存在する世界。魔法に関してはオチこぼれの主人公が使い魔のジョン平とともに事件を解決する。
 作者が理学博士というだけあって、魔法が「魔術」(@奈須)と同様の再現性のあるもの*1として描かれている。つまり、この世界における魔法は物理現象なのである。魔法でも科学技術でもできることなら、科学技術の方が敷居が低くなるように設定されていることなど、魔法という便利な力があるからといって科学という方法論がなくなってしまわないように周到な設定がなされている。その一つの表現型が真犯人だと思う。なんと真犯人は(細菌の使い魔)なのである。
 敵の正体以上に、表紙絵を含めたお約束を裏切ってくれたその展開がステキ。ただ、ジョン平の能力がたらいの魔法使いと共通していそうなのは、ちょっといただけないかも*2
 それはさておき、作者のサイトのネタばれ掲示板におけるタイガース談義が面白すぎて、これは応援しなければと思ってしまった。
 元となった短編が読めるので、興味があれば。

全編このノリでゆるゆるゆると進む。

*1:厳密には個々人の能力によってその効果は変わってくる。

*2:これを伏線と読んでよいものか。技法という意味ではまだまだ改善の余地がありそう。