ロクメンダイス、 (富士見ミステリー文庫)

ロクメンダイス、 (富士見ミステリー文庫)

 奇書あつかいされていたライトノベル。ラ板の地雷賞も受賞している。
 ネタバレ注意!
ちょっと変わった、ありていに言うと分かりにくい文体で書かれていることが、地雷賞や奇書と呼ばれることの理由だと思う*1
 しかし、この独特な書き方は、この物語が16歳という思春期の真っ只中のオトコノコの心象風景を写し取ろうとしたことから来る必然である。だからこそ、実はこの物語は主人公であるハツの通過儀礼だったのだということが、最後になって明かされるサプライズになっているのである*2
 そう、この作品は「ハツの人生の物語」だったのだ*3
 結論を言うと、この書き方そのものはアリではないかと思う。もし難癖をつけるとするなら、これは「心理学化」しすぎではないかといった方向ではないだろうか。

  • 蛇足

 駄洒落好きの作者だから、ハツ→心臓→heart→心ということでいいだろう。もちろん、チェリーは"virginity"*4の意。

*1:投票コメントまでは読んでいない。

*2:犯人当てはオマケみたいなもの。

*3:何を言っているか分からない場合には、『あなたの人生の物語 (ハヤカワ文庫SF)』の表題作を参照。

*4:http://dictionary.reference.com/browse/cherry