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カムナビ〈上〉 (角川ホラー文庫)

カムナビ〈下〉 (角川ホラー文庫)

ムダに詳しい比喩や、サイコキネティクスにも作用、反作用を考えてしまうような作者の理系っぽさは、存分に発揮されている。
「カムナビ」の正体に対する太陽系規模の風呂敷の広げ方もスゴい。ガジェットに関しては、「繋がる」ことの解釈がなかったのが玉に瑕かも。
まぁ、十分エンタメしてると思う。
ただ、ストーリーの方は非常に尻すぼみだった。特に、作者のミソジニーを一身に背負った真希の扱いはこれでいいのかと。これまでの作風からいうなら、「力」を手に入れてもう一戦じゃないのだろうか。因果応報というよりは、枚数の都合に思えてしまう。書き下ろしなんだから、新聞小説みたく同じ説明の繰り返しを入れなくてもいいだろうに。
それとも、祐美エンドにするためだったのか？
そう考えるなら、この作品は小説よりも、選択肢のあるゲームとして発表された方が良かったのかもしれない。ならば、枚数を気にしなくても良かっただろう。一応、メインヒロインとしてロリとツンデレの二人がいて、それだけでは少ないなら、「心の傷」を負ったメガネもいる。あとは、気象予報官をヤンデレにすればOK。
一人称、手記、シナリオなど書き方を工夫せずに、媒体を工夫すれば良かったに違いない。