冬至草 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

冬至草 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

MDアンダーソン癌センターという、癌に関しては世界一ィィィ!な施設で働く*1現役の医者が書いた小説であるから、医学的考察は非常によく出来ている。
個人的には幻想譚としてよりも、現役の医者・研究者によるエッセイとしての面白さが先立ったかもしれない。
特に『アブサルティに関する評伝』は、「捏造」が騒がれている昨今の状況を予見していたわけでもないだろうが、研究者ならではの書き方で現在の科学が本質的に抱える問題点を突いている。
あとがきによると、既刊はすべて絶版になっているそうで、古本屋に行ったときに探す人名がまた増えたことはうれしい限り。

*1:医者としてなのか、研究者としてなのかは不明