『フラワー・オブ・ライフ (3) (ウィングス・コミックス)』

この作品の根っこにあるのは、価値観の相違である。買い物、本の取扱い方法、マンガの演出についてなどなど、キャラクター達はいろいろなシチュエーションで対立する。
この作品が面白い所のは、その対立は解消されるが、個々人の価値観は全く変わらないところだと思う。別々に買い物をしてもその後で話せば楽しいし、マンガを面白くしたいという姿勢さえ理解しあったなら、見解の相違はどうでもよくなる。そうなるためにも自分の思っている所は、相手にきちんと伝えた方がいいよねというのが、辛抱辛抱で困っている翔太の父親のコマを#12のラストに入れた理由だろう。
そうして仲良しをやることで、どんどんとデフォルメ化された絵が増えるパートと違って、シリアスな絵ばかりの真島と滋の愁嘆場は違う位相にあるように思う。この二つをこれからどうやって結びつけるのかが、終わりが見えてきた本作のこれからの見所である。