「玩具修理者 (角川ホラー文庫)」 小林泰三

玩具修理者」と「酔歩する男」の2編を収録。
「玩具」のCethulhvネタにはニヤリとさせられた。ただ、ホラーとしてはそれほど怖くはなかった。
「酔歩する男」は怖い(断言)。観測によって波動関数が収束する、というある意味、手垢にまみれたネタを使っている。過去での観測を行えば波動関数は発散してしまい、いつまでたっても終わらない、断片的なエピソードを繰り返す生涯。人生における無限の可能性を楽しめる、ということで肯定的にとらえることも出来るのかもしれない*1。しかし、直線的な記憶がなくなってしまう、というのは生理的に嫌なのだ。
ちょうど今日放送していた劇場版「ラーゼフォン」で、主人公が最後になってしまった観測者は実はこのような存在だった、という様な妄想を働かせて読むと吉、かもしれない。

*1:それこそ学園エヴァみたく